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第17話

本記事は2018年1月28日に行われた第3回スチームパンク武装撮影会のストーリーになります







スキットルの口から垂れた最後の一滴は、足元の土に吸い込まれていった。


00_頓挫

ファラメルディアス=フォン=ザクローゼンは、それを目で追うこともせず、虚空を見つめている。

運河の建設で財を成したザクローゼンの曽祖父は爵位を叙し、大英帝国の貴族議員にまで登り詰めた。
しかし産業革命にあって水上インフラの整備が落ち着いた今では、特権階級として議員の既得権を守ることと、本業で財を成すことのジレンマに悩まされていた。

01_酔いどれ 運河の整備需要を高めるには貿易を盛んにする必要があり、貿易を盛んにするためには消費者を増やす必要がある。

消費者が増える世界とは、下流階級の底上げ……つまり上院議員が最も忌み嫌う庶民院の拡大を伴う世界であった。

ファラメルディアスは貿易や鉄道、蒸気船で財を成した貴族議員と同じく、家の継続と減少する議席のその境目で自らの境遇を呪っていた。


大英帝国女王の笏に嵌め込まれた世界最大のダイヤ、クーヘヌールの死蔵。

その真実が盗難の隠蔽である、という人々の噂は上院議員の間にも広まっていた。
盗難が万が一真実で、もしそれを奪還することができたとしたらば、新しい爵位を与えられ、瑣末な議席争いとは無縁となるだろう。


鬱屈とした日々に別れを告げるため、ファラメルディアスは他の世襲議員と結託して国外にダイヤが持ち去られた可能性を調べた。


陸海空のインフラにコネクションを持つ貴族達があらゆる情報をかき集めたが、半年経っても確たる成果は得られなかった。
それもそのはず、ファラメルディアスは結託前からいち早くクーヘヌールの行方を掴み、隠匿していたのだった。

ファラメルディアス以外の全員が「与太話だった」と諦めた後、計画は実行された。



それが2ヶ月前。



02_まあまあ 「先発隊は殺され! 侘助もヘンゼルもやられた! 俺たちは死に怯え、ジャングルの中で凍死寸前だと!? たかが石ひとつを追ってこのザマだ!」

現地コーディネーターとして雇われたセイヤンは全てを知りながら、おくびにも出さない。

鏘園とユーホァが倒されたのは意外だったが、それでもまだ残った刺客が捜索隊を殺すチャンスはいくらでもある。
仲間を殺してもファラメルディアスは諦めないだろう。こちらも手は抜けない。1人づつ、確実に消していく。


「わたくしが残り、侘助様を探しますのでファラメルディアス様達は一度帰国して体勢を立て直すこともできますが……」

「ここまで来てみすみす帰れるか! その間にダイヤが移動されてしまうのが落ちだ! 捜索は続行だ!!」

「そうですか……」


ブラフは成功した。もとより捜索隊に退路などない。彼らのボートはセイヤン自らが沖へと流したのだから。

「であれば最短距離を強行いたしましょう」


03_地図 「望んだことじゃあないが、人数も少なくなってきて身軽にはなってるな」

意外にも翡翠が乗ってきた。

「今日は晴れている。星見が出来れば夜の行軍は俺も協力できるぜ」

04_翡翠 随分と自信があるらしい。

だが、夜は我々の世界だ。


「それでは迂回はやめ、森の深いルートを進みます。侘助様と再会できる可能性はありませんが……」

05_再出発 「迷ってもきっと侘助さんなら船着き場で待ってると思うわ」

楽観的なラバナーヌに、ファラメルディアスは悪態をつく。

「そうしてくれれば役立たずに金を出さずに済む」

セイヤンが指をさす方へ、一同は進んでゆく。


06_森 隊は、全滅の選択肢を選んだ。









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原案・文章(マイケル)
記事・管理(バレット)


カメラマン(以下の皆様の写真を掲載させて頂いております)
せーゆ
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