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第2回スチームパンク武装撮影会 第2話『息差』


『注意』
この記事は、第2回武装スチームパンク撮影会の記事です。
ストーリーになっており、フィクションの内容となっております。ご了承ください。
写真撮影は(
ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
※一部ツイッター上の物も使わせていただきます。

前回のお話







━━領主の館━━



冷たい床に、乾いた音が響く。
それは、一つではない。

 複数の音が、規則正しく響き渡る。場違いな容姿の者達は、屋敷の通路の左右に広がる、高貴な装飾品。珍重な絵画。豪華な調度品には目もくれない。彼らにとっては、「価値」の無い物だからだ。更に、彼らの動きに油断と隙はない。淡々と歩みを進めると、眼前に一際鮮麗な扉が見える。先頭にいた男は静かに口を開いた。


「止まれ」

 男の声が小さく漏れると同時に、周りに靴音は刹那に消え失せる。



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「どうしました?隊長」
 大きな狙撃銃を背負う女性兵士は軽く首を傾げた。口元に僅かな笑みが浮かぶが、目配りと姿勢は絶えず、周りに向け備えられている。もし背後と前面の扉から挟撃を受けたとしても、取るべき行動が即座に頭に浮かび上がる。・・・・・・兵士とはそういう生き物だ。

「いや・・・”別班”からの連絡はあるか?」
『イエ、別班の識別反応は感知できません。この館に入る直前までは反応がありましたが・・・』

 隊長と呼ばれた、ゴーグルの男の側にいる小柄な女性は、抑揚のない声で返す。女性は華奢な体ではあるが、不釣合いな大きな盾を軽々と構えている。体の彼方此方から、小さな機械音も微かに聞こえてくるだろう。
 何かを言おうと口を開いたゴーグルの男を遮るように、一番後方にいる青年が吐き捨てた。


「アイツらは信用できないね・・・。同じ部隊でも、いわくつきの奴らばかりだ」
「よせ、アキラ」
「ナハシでいいよ、そっちが僕の番号だ」

 不愛嬌に返す、ナハシと呼ばれた青年は顔を背ける。

 彼らの腕には共通の腕章が巻かれている。その腕章は、『Armed Forces of Steam”蒸気軍”』のそれであった。彼らは中央政府から、反乱軍鎮圧の為に派遣された兵士達である。栄光ある蒸気軍の中でも、彼らが所属するのは『蒸気実験部隊淀川班』である。軍が極秘に開発している、秘匿兵器の能力実験の為の戦闘部隊だ。
 隊長の淀川シオンは、一点突破兵器『ビックバンド』の使い手。
 大型盾を軽々と持ち上げる女性は二等兵の人造天使。某国で作られた”兵器”である。
 一等兵シャルロッテ・ローマンが扱う狙撃銃は、将来の軍制式採用狙撃銃の試作型である。
 そしてこの素っ気無い青年は、凪橋晶(ナハシアキラ)。容姿に特異はないが、ある実験の被検体である。

 中央政府からは、彼ら淀川班とは別に、もう1つの実験部隊も派遣されていた。



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「彼らは別の任務で動いているのだろう。仕方ない。領主の面会をさっさと済ませるぞ」
「いやぁ~、緊張するなぁ~・・・私、貴族サマと話す機会あまりなくて・・・」

 わざと大げさな動きをするシャルロッテを制し、淀川は人造天使に再度、指示を出す。

「もし彼ら・・・”メッサー班”の識別反応が出たら教えてくれ」
『ハイ』

 人造天使は慎ましくカーテシーをした。

「・・・・・・敬礼でいい」

 淀川の口元は小さく綻ぶ。




━━反乱軍拠点━━




 反乱軍の拠点では、続々と民兵や傭兵が集結している。完全な兵士から、武器をまともに扱った事もない子どもや老人の姿まである。装備の確認をする者や、緊張した面持ちで遠くを見つめる者もいる。そんな民兵集団の中心に、杖をついているゴットヘルフの姿があった。



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「ふぅ・・・そろそろ攻撃かの」
「大丈夫ですか、お爺さん?」

 心配そうに、獣人の青年が顔を覗き込む。他にも周りにいる市民・・・いや、民兵達が心配そうに、疲れた様子のゴットヘルフを見つめる。彼らは、元々は戦いを知らない、非戦闘員である。それを、このゴットヘルフが調練したのである。

「あの伝説の男も老いには勝てないかぁ」

 へらへらと笑む青年が馬鹿にするように言う。彼らは全員ゴットヘルフに戦う術を教わった。確かに武器の扱い方の教え方はうまく、多くの反乱軍の民兵は、ゴットヘルフを尊敬している。

 しかし、彼自身が戦うところは見た事がない。前の領主に仕えた凄腕のボディガードであるゴットヘルフ。だが、彼の全盛期から既に20年近く経とうとしている。彼の凄腕ぶりを知る者も少なくなっている。

「ヒヨコ、そんな言い方は失礼だよ」
「へへ、悪りぃ、悪りぃ、モリブデン」

 獣人の青年モリブデンとヒヨコはお互いに穏やかな笑みを見せ合う。この世界において、人間と獣人が睦まじく交わす姿は大変珍しい。獣人は労働力として、使役される対象として迫害を受けていた。モリブデン自身もそんな獣人の将来の為に、反乱軍に入ったが、当初は周りからの差別を受けていた。
 
 そんな彼を温かく迎えたのは、大道芸人から反乱軍に入ったヒヨコだった。




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『ホラ、食えよ』
『え、でも・・・僕は獣人だよ?あまり僕に優しくすると他の人間に君が酷い事されちゃうよ・・・』

 軽くモリブデンを小突くヒヨコ。

『んなの関係ねーだろがよ。獣人だって人間だって腹は減るんだよ』


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『・・・・・・俺も独りなんだよ』

 二人で固いパンをちぎりながら、ヒヨコは口を開いた。モリブデンは静かに見つめる。

『俺の爺ちゃんは、俺が生まれる前に家族を捨ててよ。俺の親父とおふくろはどっちも病弱で、俺を生んであっという間に死んじまった。俺は街にやってきた旅の芸人に大道芸を仕込まれて、なんとか生きて来れたけど・・・独りぼっちなんだよ。・・・・・・お前と一緒さ』

 ヒヨコは目を合わせずに「よろしくな」と素っ気無く、手を差し出した。モリブデンは力強く、その手を握った。









 出会った頃を思い出していた二人の耳に、集合を知らせる鐘の音が聞こえてくる。









━━━━━
主な登場人物(台詞がある人物達から順に紹介してゆきます)

淀川シオン(
淀川シオンさん
人造天使(キリコさん
凪橋晶(
凪橋晶さん
シャルロッテ(史郎さん
ゴットヘルフ(
コービーさん
モリブデン(
モリブデンさん
ヒヨコ(
ヒヨコさん
マチルダ(マチルダさん


第二話です。
今回は、軍隊と反乱軍の人物紹介的な回ですね。
敵対する二勢力ですが、どちらも負けられない想いと背景があります。
しかし、無情な戦火は全てを巻き込んでいくでしょう。

写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。





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