第2回スチームパンク武装撮影会 第17話『傀儡-弾-』

『注意』
この記事は、第2回武装スチームパンク撮影会の記事です。
ストーリーになっており、フィクションの内容となっております。ご了承ください。
写真撮影は(
ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
※一部ツイッター上の物も使わせていただきます。

前回のお話
━━領主の館・通路━━━


 シャルロッテは領主のもとへと急いでいた。彼女は命令に従う軍人であるが、今の彼女を動かすものは司令部の命令ではなく、蒸気軍実験部隊長である淀川シオンの信念である。
 シャルロッテは淀川の事を軍人としてだけではなく、人として持つ矜持に特別な敬愛を抱いている。それは、かつて、自らを拾って育ててくれた事に恩義を感じていたからだ。 一方で、淀川班と共に送り込まれた蒸気軍実験部隊メッサー班の隊員の一人にも尊敬している軍人がいた。そのメッサー班ともしばらく連絡が途絶えていた。

 「!」

 前方でコートを着た男が蠢いている。顔がよく見えない。ライフルを向け、意識を前方に向けた。肩に力を入れるシャルロッテに、声が送られた。

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 「おいおい、その反射速度は認めるが、上官に銃を向けちゃいけねえだろ・・・一等兵よ」














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バッ

 前方の男がコートを脱ぎ去るとそこからは全身鎧に包まれ、革製の特徴的な兜を身に付けた男が現れた。そして男の腕にはシャルロッテと同じ腕章がつけられていた。

「あ、貴方は・・・・・・バレット軍曹!」

 シャルロッテは銃を下ろし、瞬時に敬礼をした。面識はなかったが、階級腕章と、弾丸が備え付けられた特徴的な兜を持つのは蒸気軍の中でも、一人だけだ。
 バレットトリガー・・・とある戦いにおいて、全身が傷付きながらも仲間を救ったという英雄的な軍人であった。そして、粗野ではあるが、義に厚く高潔な軍人だと聞いていた。

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「ご無事でありましたか軍曹」
「あぁ。まあな。淀川班も無事みたいで、良かったぜ」
「高名なバレット軍曹にお目にかかれて光栄であります!」
「まぁそんなに世辞るな。やれる小遣いはねえぞ」

 初めて会う憧れの上官。軍人であれば胸が高鳴るはずに決まっている。一等兵であるシャルロッテからすれば、軍曹のバレットは上官であった。噂によれば、バレット軍曹は戦場での負傷の後は軍の機密計画に加わったと聞いていた。・・・確か、負傷兵再派遣計画(recycle troopers project)だったと・・・。それがメッサー班の隊員として参加すると聞いていて、会うことを心待にしていたのだ。






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「・・シャルロッテ一等兵だったか。他の淀川班の隊員はどうした?」
「それが・・・二名は戦死。淀川隊長は・・・個人の裁量で動いております」

 シャルロッテからすれば、淀川班の造反を伝えるのは憚られた。僅かに表情を曇らしながら、目線を逸らした。 バレットはそれ以上追及せず、シャルロッテの背後に回りこんだ。











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「バレット軍曹。ところで、他のメッサー班の隊員はどこへ?」
「ああ、そいつはな・・・」
 シャルロッテの背後で蒸気式ソーが音を上げる。


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ザザッ

「俺が皆殺しにしてやったよ!!」
「!?」

 僅差のタイミングで、シャルロッテは、バレットのソーを避ける。尊敬する相手からの、狂気の攻撃に、思わず叫んだ。






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「・・・!?どういうつもりです、軍曹!」
「フン、もう・・・作戦も仲間も必要ないのよ!俺様だけが生き残ればいいんだよぉ!」
「くっ!」

 正気を失っていたバレットの攻撃を交わすと、シャルロッテは銃を構えて、弾を放つ。しかしバレットのスチームソーが弾を弾くと、瞬時に、シャルロッテの眼前に迫り来る。その威圧感は尋常ではない。

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「貴方を尊敬していました!・・・何故こんな」
「何度も死地を経験して悟ったのよ・・・!!最後に信じられるのは自分自身と金だけだってな!・・・今回入の作戦に加わった軍人達は全員事故死・・・お前らを消せば、反政府勢力から、たんまりと金を貰えるのよ!」

 バレットは豹変していた。己の体と心が傷つき・・・。代わりに得た鎧と兜は、人間の心を失わせ、破壊者へと成り下がっていた。そこに、高潔な軍人の姿はなかった。
 それを悟ったシャルロッテは、すかさず、バレットの足を狙い、蹴り払う。シャルロッテは思い出していた。負傷兵の肉体強化の為に造られた鎧があると。それは、強大な力と引き換えに、戦闘への恐怖心、人の尊厳を失っていく、恐るべき兵器だということを。・・・バレットを包んでいる鎧が・・・恐らくそれだ。

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「やるな・・・!」
「軍曹・・・貴方はその鎧と兜に囚われている・・・!あたしが救います!貴方は・・・仲間を誰よりも思う高潔な軍人だ!」
「小娘が・・・何を言ってやがる!!」








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「貴様に分かるのか!救いたくても救えぬ兵士達が死んでいき・・・己が狂っていく様を!・・・俺はこの鎧を手にいれ、全てを悟ったのだ。恐怖も苦しみも無い!自分の為だけに生きていくんだよ!」

「それでも・・・その鎧は・・・あたしが壊す!貴方の誇りの為にも!!」
「・・・・・・・・・やってみろぉ!!!」








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 二人の銃口は、互いに向けられていた。反応速度は互角だった。








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「仲間など要らぬ!力は己自身の戦闘力で決まるんだ!!」


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「違う・・・!本当の力は・・・仲間と共に生み出すものなんだ!!」

 シャルロッテの脳裏には・・・淀川・・・・凪橋・・・人造天使・・・・・・仲間達の顔が浮かんだ。その時、自身の体が軽くなった気がした。二人は再度、銃口を向けあった。














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「うおおお!!」
「うおおお!!」


 二つの銃声が、薄暗い通路に響いた。二つの薬莢が、床に落ち・・・乾いた音がした。



















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 その刹那・・・地には、バレットが座り込んでいた。体からは血が流れていた。シャルロッテの放った銃弾が、勝負を決めたのであった。しかし、シャルロッテの顔は浮かなかった。それは、敬愛する相手に勝利したことへの戸惑いではなく、決着の瞬間、バレットの動きが一瞬止まったことであった。


「バレット軍曹・・・貴方は・・・・・・最後の最後で、鎧の魔力に打ち勝ったのでは・・・」
「・・・は・・・・・・ふん、てめえの銃さばきが早かっただけだ・・・・・・」

 しかし、シャルロッテは確信していた。バレットは最後の最後で・・・自らの忌まわしき鎧の力に勝ち、自らの意思で、引き金を引くのを遅らせたのだと。彼は、最後で、軍人としての矜持を取り戻し、罪を受けるため、甘んじて弾を受けたのではないか・・・。










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「くだら・・・ねぇ・・・さっさと行かねぇか・・・他にいくところがあるんだろ・・・」
「軍曹・・・・・・・・・失礼します・・・・・・・・・」

 シャルロッテは、涙目にその場を立ち去った。領主を探して、止めなければ。今は、軍人としてではなく・・・自らを拾ってくれた淀川の力になりたい。シャルロッテは、敬愛する一人の軍人を失った。しかし、同時に・・・一回り大きくなったのである。











「・・・・・・仲間か・・・・・・・・・ふん」











 少し逞しくなった、女性兵士の背中を見つめながら、バレットは小さく呟いた。










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ラスティパペット大活躍回四連続でした!
さあ、物語は最終回へと近づきました!
最後まで、お付き合いください!

写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。

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