2017/04/23
第2回スチームパンク武装撮影会 第14話『傀儡-腕-』
『注意』
この記事は、第2回武装スチームパンク撮影会の記事です。
ストーリーになっており、フィクションの内容となっております。ご了承ください。
写真撮影は(ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
※一部ツイッター上の物も使わせていただきます。
前回のお話
この記事は、第2回武装スチームパンク撮影会の記事です。
ストーリーになっており、フィクションの内容となっております。ご了承ください。
写真撮影は(ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
※一部ツイッター上の物も使わせていただきます。
前回のお話
━━領主の間━━━
窓の外の様子は、がらりと変容していた。
領主の館での戦いに呼応するように、市街から反乱が起き、火の手が上がっている。それを鎮圧する為に動き出す警備兵達。また、逐一報告にやってくる側近達の青ざめた表情に、ビッグブラザーも動揺を隠せずにいた。
領主の館での戦いに呼応するように、市街から反乱が起き、火の手が上がっている。それを鎮圧する為に動き出す警備兵達。また、逐一報告にやってくる側近達の青ざめた表情に、ビッグブラザーも動揺を隠せずにいた。
「ど、どうすればいいのだビッグブラザーよ」
領主は表情は変えずにいたが、どうしていいか分からない様子で、目を細めた。領主には、この状態がどこまでの過酷な状況かを理解する見識はなかった。彼は何も知らずに、側近達の提案する遊びに興じていただけの飾りにすぎなかったからだ。ビッグブラザーは拳を震わせている。
「・・・ぐ・・・まさか傭兵達がやられ、蒸気軍の連中が裏切るとは!」
「彼らには忠義という言葉がないのでしょうかねぇ。恥知らずもいいところだ。彼らの裏切りがなければ私の可愛い兵士達もやられずに済んだというのに」
「本当ですわ・・・おいたわしい深川卿・・・」
「本当ですわ・・・なげかわしい深川卿・・・」
深川卿の言葉に反応するように女官であるシトリーとイブリンが慰める。しかしそれらの表情には、危機感を感じている様子がない。彼らには、まさか自分達が追い詰められているとは夢にも思っていないのである。あるいは、分かっているのだが興味はないのか・・・。
「一部の群衆達が屋敷内へと入り込んでいるようです」
「ブラザーよ。それは困る。我輩の宝物庫は大丈夫であろうな?」
「警備兵の数を増やしては如何かな?」
どこか他人事のようにも見える、領主達の会合の中、部屋には誰にも気づかれる事なく。一人の男がいた。彼は静かに、領主達の様子を見つめている。そして、ゆっくりと、手にした本をめくった。
領主は表情は変えずにいたが、どうしていいか分からない様子で、目を細めた。領主には、この状態がどこまでの過酷な状況かを理解する見識はなかった。彼は何も知らずに、側近達の提案する遊びに興じていただけの飾りにすぎなかったからだ。ビッグブラザーは拳を震わせている。
「・・・ぐ・・・まさか傭兵達がやられ、蒸気軍の連中が裏切るとは!」

「彼らには忠義という言葉がないのでしょうかねぇ。恥知らずもいいところだ。彼らの裏切りがなければ私の可愛い兵士達もやられずに済んだというのに」
「本当ですわ・・・おいたわしい深川卿・・・」
「本当ですわ・・・なげかわしい深川卿・・・」
深川卿の言葉に反応するように女官であるシトリーとイブリンが慰める。しかしそれらの表情には、危機感を感じている様子がない。彼らには、まさか自分達が追い詰められているとは夢にも思っていないのである。あるいは、分かっているのだが興味はないのか・・・。

「一部の群衆達が屋敷内へと入り込んでいるようです」
「ブラザーよ。それは困る。我輩の宝物庫は大丈夫であろうな?」
「警備兵の数を増やしては如何かな?」
どこか他人事のようにも見える、領主達の会合の中、部屋には誰にも気づかれる事なく。一人の男がいた。彼は静かに、領主達の様子を見つめている。そして、ゆっくりと、手にした本をめくった。
━━宝物庫━━━
「へへへ・・・こいつは良いタカラモンだ」
騒音の中、宝物庫の中に蠢く影がいた。見たところまだ若い青年のようだが、腰には武器が提げられている。外見からは正規の兵隊ではないようだ。忍び足で周りの宝物を物色している。手には煌びやかな宝飾品を握り締めている。
「民兵に加わったふりしての火事場泥棒・・・たまらねえ!この金で俺の発明はさらに進化・・・」
「う、うわっ何だお前!」
一部始終を見ていた淀川が、ため息と共に一歩踏み出す。
「領主の間に行く途中にこんな鼠と出会うとはな。盗みの為に、民兵に加わりどさくさに紛れての盗賊行為か。感心しないな」

「大人しく盗んだ物を置いて去れ、ここは戦火に包まれる。命を無駄にするな」
銃とビックバンドを向ける淀川。大袈裟なモーションをしながら、若い男・・・マイケルは頭を下げる。
「す、すいません。出来心だったんだよぉ~・・・こ、こんな事はもうしない、ゆ、許してくれー」
何度も頭を下げるマイケルに半ば呆れる淀川。こんな事をしている場合ではない、はやく領主達と決着を付けねば。
「はやく行け」
「あ、ありがとう!・・・お礼に・・・」

「こいつを喰らいやがれぇ!!ひゃっは!」
頭を上げると同時に突き上げられた拳を、辛うじて避ける淀川。マイケルの腕に装着されている機械腕から、勢い良く蒸気が噴出す。
「チッ!惜しかった!俺のメカアーム『タガメ』を避けるとは。・・・なるほどあんた、軍の人間か!」
淀川の腕の腕章を見ると、覆われていない口がニヤリを笑む。

メカアームとビックバンドの激しい衝撃音が、宝物庫に響く。
「・・・くっ・・・やるな」
「あんたの腕も良い感じだが、俺の発明品が世界一よ!へへへ!」
グイグイと力を加えさせるマイケル。少しだけ、淀川が押される。淀川は、苦しそうな表情を浮かべ、絞るように、マイケルへと話しかける。
「・・・お前のような者が屋敷内に居るという事は、街はどうなっているんだ?」
「なんだ、あんた知らないのか?なんだが屋敷内で大規模な戦闘が起きて、街のあちこちでも反乱が起きてるのよ、この領主ももうおしまいだ!ま、俺には関係ないがね!」
優勢な自身の状態に気分を良くし、口が軽くなるマイケル。
全てを聞くと、淀川は小さく呟いた。ビックバンドに力が入る。
「そうか・・・民衆達が立ち上がったか・・・自分達の行為は無駄ではなかったんだな・・・」
「あ?」
「教えてくれて礼を言うぞ。だが私は領主のもとへ行かねばならん」
「い?」
「さっさと終わらせてもらう」

ドガッッッ!!!
「うっ!!」

バキッッッ!!!
「え”ぇ”ぇ”!!」
グシャアァァッッ!!
「おぉぉぉおおッッ!!」
「すまんな」
疲れた様子もなく、宝物庫から立ち去る淀川の背後には、バラバラになったメカアームと床にだらしなく崩れたマイケルの姿があった。
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写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。
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