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第11話

本記事は1月28日に行われた第3回スチームパンク武装撮影会のストーリーになります





00_ロゴ






01_背後 狂乱のオカルティスト、アダムはマハトマに導かれるまま森を彷徨っていた。

薬草が詰まった嘴の内側をしとどに濡らしながらも、決してマスクを顔から外すことはない。
アダムはこの島を取り巻く外気そのものを害のある毒と判断しているからだ。

この島の気候は異常だ。数時間前まで凍てつくような雪原にいたかと思えば、急に気温が上がりはじめて、いまや全身がべとべとに汗をかくほどの暑さに変わっている。


「早々に宝玉を見つけ退散しなければ、暗黒の狂気に呑み込まれてしまうぞ……」

しかし、現実はアダムに厳しかった。

狂乱には狂乱が引かれ合う。
往く手に立ちふさがったのは虚無僧・鏘園だった。

02_遭遇 「我は鏘園。汝の業を断つ暗明の虚無僧なり」

半身でガットリングを構えたまま抑揚なく名乗る。


「業(カルマ)……? ハッ、そんな低俗な志でこの私がここまで来たと思うか! 野良坊主ごときが止められると思うなら止めてみよ!」


「無論」

アダムの挑発に、素顔を隠した天蓋の中から低い声で応じる。
鏘園は勢いよく数珠型リコイルスタータを引いた。





03_腰溜め撃ち 「真理の光!!」

ガットリングが火を噴くより幾ばくか速くアダムが杖を突き立てた。
瞬間、杖の先が眩く発光し鏘園の視界は真っ白に遮られた。

網膜に焼き付いた白いモヤの中に現れるいくつものペストマスク。


04_幻惑 鏘園が銃口を幻覚に合わせようと逡巡した一瞬の隙をついて、アダムは素早く森の深い方へ逃げ込んだ。










05_ぜえはあ 数分か、それ以上か。
足がもつれ、木に倒れこむように縋って、逃走は終了した。

「こ……ここまで、来れば……」


思わぬ全力疾走にじらじらと視界が揺らぐ。
肩で息をしながらアダムは状況を整理していた。

堂々と啖呵を切ったは良いが、正面衝突して勝てる相手ではなかった。

ヴァイスやナタリアとは意識的にコミュニケーションを取らなかったが、今考えれば集団で行動しても良かった。
何かあれば身代わりにも出来ただろう。


しかし、あれだけの火力を持った兵が守護しているとあれば宝玉も近いはずだ。
大英帝国のコヒヌール。この島にあるのは間違いない。

呼吸を整えて、もう一走り行けるだろうか。
上陸地点への帰還ルートも考えれば、まだまだ油断はできない。




「茶番は終わりか?」

06_背後2




「う、うわああ!」




07_背後2気づき 虚無僧が、さもいままでそこに居たかのように平然と、アダムの背後に立っていた。


「わずかな蒸気圧を検知。異教の徒よ、そんなペテンではこの鏘園は騙せんよ」

「この、狂乱のアダムに銃を向けるとは! 真理に焼かれて消し炭になる前に立ち去るがいい!」

「狂乱? 真理? 汝よ、自分で言っていて恥ずかしくないのか。稚戯を振り回しても、まことの真理にはたどり着けぬ」


こけおどしは一切通じない。 右手に数珠を絡めたまま、鏘園は一歩、また一歩とにじり寄る。
アダムは気圧されながら距離を取ろうと後退したが、地面を這うツタに足を取られ転倒してしまった。


08_倒れ 「し、真理の光!」

杖を振りかざし叫ぶが、しかし何も起こらない。

「おおかた、使い捨てのフラッシュバルブであろう?もう発光は出来まいて。」




鏘園が再び数珠を引く。遮るものもなく、すべての弾がアダムの全身を砕いた。




「偽りの狂人よ。汝の信じる死後の世界では、嘘吐きはどう裁かれるのであろうな」


09_南無三 「まあ、『狂人のふりをすればすなわち狂人』か」

鏘園は亡骸に相対し、片手で念仏を唱えた。









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原案・文章(マイケル)
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