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第16話

本記事は1月28日に行われた第3回スチームパンク武装撮影会のストーリーになります




00_ロゴ


茂みからユーホァが覗いている。
彼女の目的は捜索隊の排除。1名以上の殺害である。



01_発見 仕事を視線の先にはコヒヌール捜索隊のコック、ラバナーヌがいた。

肉や野草を持っているところを見ると、これから捜索隊の食事の用意をするのだろう。


ユーホァは考えていた。
なんであれ非武装の女性を、この双錘で撲殺する行為が正しいとは思えなかった。

選んだのは自分の手を汚さない方法だった。



02_薫香 ユーホァのもう1つの武器、それは幻惑術である。
マスクの気密弁を閉めると、腰に提げていた香炉に火をつけた。

香気がラバナーヌを包みこむ。
それは少量の吸引で酩酊状態に近い多幸感を呼び、注意力を散漫にさせる。

あとは仲間になりすまして崖まで誘い込むだけ。
勝手に落ちればそれで良し。そうでなくても背中から小突いてやれば、足腰の立たない体は簡単に海へと落ちるだろう。


茂みの影から優しく、しかしはっきりと語りかける。



03_異臭 「ラバナーヌや……ワタシ……ワタシだヨ……」

「ふぁ……?侘助さん……?」

「え? ああ……そうだヨ……ワビスケだヨ……」

「いなくなってたと思ったら、こんなところに迷っていたのねえ……」

「そうだヨ……道に迷って、足をくじいてしまってネ……」

「まあ、それは大変!」

「コッチだヨ……コッチ……」



ラバナーヌは誘われるがままに声の指す方に歩いてゆく。
男性に間違われたのは意外だったが、もはや男女の声の区別もつかないほどにトリップしているのだろう。



「コッチだヨ……コッチ……」

「こっちでいいの……ハイハイ……まあ!」

「マア?」


思惑どおりフラフラと誘われるがままに歩いていたラバナーヌの歩みが、不意に止まる。
彼女が指さした先には、茶褐色のキノコが群生していた。

「ハナイグチじゃない!? ちょっと待ってね侘助さん、あらやだ~、今日の晩ご飯はキノコ鍋だわ~!」

「は、ハナイグチ……?」

香炉の効果で注意力が欠如しようとも、シェフとしての本能か。
ラバナーヌは宝物を見つけた探検家のようにキノコを摘み始めた。


「モシモーシ?」


待つこと数分、ようやく立ち上がったラバナーヌであったが、その後も食用の花を見つけては花を摘み、果実を見つけては果実を採って行った。


「オーイ……」

数歩進んでは違う方向に走り出す調理師は、幸せ一杯の表情で暴走していく。
もはや物陰からの囁きに耳を貸さぬラバナーヌに業を煮やしたユーホァが、とうとう茂みから飛び出した。


「いい加減にシろーッ!!!」


04_襲撃ラバナーヌ視点 「!?!?」

大声と振り下ろされる凶器にラバナーヌは身をすくめ、咄嗟に手で顔を覆った。持っていた鍋の蓋が錘の直撃を防いでいた。
バランスを崩し尻餅をついたことで分散されたが、余りある衝撃が全身に響いた。

「イヤーッ!?キャー!!!」

何も分からず、叫び声を上げるしかない。

自分はただ、昼食の支度をしようとしただけなのに。

理解できているのは「目の前の女が自分に危害を加えようとしている」ということのみ。
命の危機に晒されてパニックに陥ったラバナーヌができたのは、あらゆる持ち物を投げつけることだけだった。



自制を失った無自覚の行動は、時に思いもよらぬ結果を齎す。

キノコや花実を摘んだカゴを投げた。油壺を投げた。昼食用の肉を投げた。酒瓶を投げた。

キノコの入ったカゴが片方の錘で叩き割られ、キノコが飛び散り、花が舞った。

油壺もまたもう片方の錘が振り下ろされ、その場に飛散した。

肉の塊を避けようとしたユーホァは、大きく姿勢を崩した。油の沁みた落ち葉に足を滑らせたのだ。
今度はユーホァが尻餅をついた。しかしそれでも視線は次に来る酒瓶をしっかりと捕らえていた。


錘が酒瓶を易々と叩き割る。ダウンしたユーホァの真上で粉々になったガラスとその中身が爆ぜる。
中身は度数の高いラムであった。


05_ボトル ユーホァは一瞬のうちに後悔した。酒瓶は割るべきではなかった。
ガラス片と酒が全身に降り注ぐ。
自らの腰には香炉があり、それを熱する火種にも等しく、アルコールが降り注いだ。

ばう、と音を立ててユーホァが燃えた。錘を当てた衝撃で、スプレーのように散ったラムがまとめて引火したのだ。



火達磨と化したユーホァは転げ回り、のたうち回る。
それでも火は消えず、ついには崖からその身を投げた。

「アアアアァァァァァァァ…………」

絶叫がフェイドアウトし、遠くで何かがぶつかる音がした。


06_怯え ラバナーヌはしばらく、その場を動けなかった。

何が起こったのか解らない中で、足元でぱちぱちと燻る草の香りと、肉の焦げくさい臭いだけははっきりと感じていた。










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原案・文章(マイケル)
記事・管理(バレット)


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