第2回スチームパンク武装撮影会 第15話『傀儡-梟-』

『注意』
この記事は、第2回武装スチームパンク撮影会の記事です。
ストーリーになっており、フィクションの内容となっております。ご了承ください。
写真撮影は(
ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
※一部ツイッター上の物も使わせていただきます。

前回のお話

━━領主の館・広間━━━

  ゴットヘルフは、ヒヨコとマチルダの亡骸を広間の隅へ運んだ。二人の表情は穏やかだった。しかし、それを見下ろす老人の表情は曇っていた。悲しみに塗れた口から言葉が漏れる。

 「儂は、何の為に戦っておったんじゃったかのう」

  ヒヨコの傍らに腰を落とすと、消え入りそうな声で呟いた。領主を探しに行ったモリブデンを見送り、静まり返った広間に、空虚な時間が流れた。 自らの過去の罪に苦しめられ、孫を失い。自らの・・・そう、戦ってきた生き様に意味はあったのか。床に転がっていた銃を手に取り、銃口を自らに向けた。 最強の傭兵が、自ら命を断つのか・・・。

「このまま、皆がいるところに逝くのも悪くないかの・・・」

 ゴットヘルフは、銃の引き金に指をかけ、大きくため息をついた。












「・・・まさかあの”バーグラー”が、人の死にそこまで感傷的だったとはな・・・」









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 静寂に投じるように言葉が響いた方向に目を向けると、そこには航空士の装いの黒い仮面の男がいた。気配を全く感じさせなかった男に、ゴットヘルフは反射的に銃を構えた。 一筋の汗が頬をつたう。



 こいつは、強い。




「お前さんは誰じゃ」
「その質問は我々の世界では、無意味なはずだが?」








 ゴットヘルフはそんな事は承知していた。しかし、相手の返答の声質で、性別・年齢・体力の状態を把握することはできる。・・・年齢は若くはないが、壮年とまではまだいかない。落ち着きがある声のトーン。気配の消し方といいおそらくは、隠密が得意な、破壊工作員、暗殺者か。自分が狙いならわざわざ声をかけるはずもない。音も無く殺しにくるはずだ。屋敷の破壊でも同様であろう。手を下さずにこのまま戦いが続けば、ここの館はもう落ちる。標的は建物でもない。



つまり



 「お前さんは誰かを探しにここにきたのかな?」





 「これは驚いた」

 少しの間のあと、男は小さく呟いた。同時に両手から刃物を取り出し、駆け出した。



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 「目当ての男はいなかったが・・・お前の首は、良い土産になりそうだ!」

 迫り来る男に、対して、即座に柱に身を隠すゴットヘルフ。先程の戦いでのダメージもあった。長期戦は不利だ。一撃で決めねば。素早く弾を装填するが、相手の男はすぐ傍まで迫っていた。




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「お前さんのような男が、目的以外の事をするとはな」
「弱っている強者を殺す。これが合理的でないと?」

 不必要な問答をするが、二人の距離は間違いなく縮まっていく。
 あと少しという時、ゴットヘルフは柱から飛び出し、銃を構え、引き金を引く。






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「悪いが、お前さんの相手をしている場合じゃないんじゃよ!」

 発射された、弾は確実に男を捕らえた・・・はずだった。しかし、実際には弾が当たらず、ゴットヘルフの眼前へと刃が迫る。咄嗟に杖を手に取り、前面に構えた。それと同時に、刃が杖を挟み込む。


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「ここまでだな、”バーグラー”・・・!!」
「・・・・・・一つ教えておいてやろう・・・・・・・・・歴戦の爺を甘くみないことじゃ!」








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ガコン!



 杖は突然、三つの節に分かれ、男の刃を押し返す。



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「!!・・・死ね・・・ッ!!」

 距離を取った男は、再び殺意とともに刃を繰り出す。
 しかし、ゴットヘルフの目つきは、さきほどのものとは豹変していた。それは、戦いに疲れ、老いさばらえた哀れな男ではなく、戦いに活路を見出した、戦士の瞳だ。





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ガシッ!


「!!」

杖で男の手首を挟みこむと、そのまま渾身の力を加える。男から刃物が落ちるのを確認すると、懐から小銃を握り締め、銃口を向ける。その動きに一切の無駄も、躊躇もない。ゴットヘルフには、戦いへの迷いは消えた。消えていった者達の為にも、絶対に負けられないのだ。負けるわけには・・・いかない!



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ダンッ!

 男は寸でのところで弾を避けた。バーグラーの凄まじさに、男も即座に刃物を横払いにする。本気でやらねば、この老人に殺される。



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「ええいっ!!死ね!爺!!」

 闇に閃く白刃を避けると、ゴットヘルフは床へと転がる。
 気づけば、手には先ほどの銃が握られていた。
 ここで死ぬわけにはいかない。














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「・・・・・・うおおおおっ!!」


 咆哮と共に、銃口の引き金を引く。
 引き金は軽かった。まるで、二人の力で引いているような・・・。












「世話が焼ける爺さんだぜ・・・全くよ」














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 薬莢がはじき出され、同時に飛び出した銃弾は間違いなく、男の肩を貫いた。致命傷ではないが、軽い傷でもない。男はよろめき、その場から立ち去ろうとする。ゴットヘルフは追う気にはならなかった。勝負は既についていたからだ。

「・・・流石は伝説の傭兵。・・・・・・・・・次は殺す」

 マスクの奥から、痛みを堪える声が響き、男は暗闇へと消えていく。


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「すまんな・・・ヒヨコ・・・やはり・・・儂はもう少しやらねばならぬようじゃ・・・

 ゆっくりと立ち上がると、全身に痛みが走る。しかし、ここで他の連中を待つわけにもいかない。自らの手で、決着をつけなくてはならない。ゴットヘルフは、少しずつだが、確実に前へと進んだ。領主の部屋を目指し・・・・・・全てを終わらせる為に。

━━領主の間━━━



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「ブラザー様。このままでは危うございます。・・・あの御方の力をお借りしては・・・?」
「ん・・・・・・そうか、あの人形遣いか!そうだ、その手があったわ!」

 シトリーの甘い言葉に、ビッグブラザーの目は見開く。この屋敷には長年仕えている魔術師がいた。ヤツの力を借りれば・・・!
 屋敷の薄暗い地下から、怪しげな笑い声が響いてくるようであった。



━━━━━━━

 まだまだラスティパペット活躍回が続きます!(?)
 お楽しみに!

写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。

第2回スチームパンク武装撮影会 第14話『傀儡-腕-』

『注意』
この記事は、第2回武装スチームパンク撮影会の記事です。
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ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
※一部ツイッター上の物も使わせていただきます。

前回のお話

━━領主の間━━━


 窓の外の様子は、がらりと変容していた。
 領主の館での戦いに呼応するように、市街から反乱が起き、火の手が上がっている。それを鎮圧する為に動き出す警備兵達。また、逐一報告にやってくる側近達の青ざめた表情に、ビッグブラザーも動揺を隠せずにいた。

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「ど、どうすればいいのだビッグブラザーよ」


 領主は表情は変えずにいたが、どうしていいか分からない様子で、目を細めた。領主には、この状態がどこまでの過酷な状況かを理解する見識はなかった。彼は何も知らずに、側近達の提案する遊びに興じていただけの飾りにすぎなかったからだ。ビッグブラザーは拳を震わせている。

「・・・ぐ・・・まさか傭兵達がやられ、蒸気軍の連中が裏切るとは!」





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「彼らには忠義という言葉がないのでしょうかねぇ。恥知らずもいいところだ。彼らの裏切りがなければ私の可愛い兵士達もやられずに済んだというのに」
「本当ですわ・・・おいたわしい深川卿・・・」
「本当ですわ・・・なげかわしい深川卿・・・」

 深川卿の言葉に反応するように女官であるシトリーとイブリンが慰める。しかしそれらの表情には、危機感を感じている様子がない。彼らには、まさか自分達が追い詰められているとは夢にも思っていないのである。あるいは、分かっているのだが興味はないのか・・・。





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「一部の群衆達が屋敷内へと入り込んでいるようです」
「ブラザーよ。それは困る。我輩の宝物庫は大丈夫であろうな?」
「警備兵の数を増やしては如何かな?」

 どこか他人事のようにも見える、領主達の会合の中、部屋には誰にも気づかれる事なく。一人の男がいた。彼は静かに、領主達の様子を見つめている。そして、ゆっくりと、手にした本をめくった。






━━宝物庫━━━





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「へへへ・・・こいつは良いタカラモンだ」

 騒音の中、宝物庫の中に蠢く影がいた。見たところまだ若い青年のようだが、腰には武器が提げられている。外見からは正規の兵隊ではないようだ。忍び足で周りの宝物を物色している。手には煌びやかな宝飾品を握り締めている。

「民兵に加わったふりしての火事場泥棒・・・たまらねえ!この金で俺の発明はさらに進化・・・」







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「う、うわっ何だお前!」

 一部始終を見ていた淀川が、ため息と共に一歩踏み出す。

「領主の間に行く途中にこんな鼠と出会うとはな。盗みの為に、民兵に加わりどさくさに紛れての盗賊行為か。感心しないな」





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「大人しく盗んだ物を置いて去れ、ここは戦火に包まれる。命を無駄にするな」

 銃とビックバンドを向ける淀川。大袈裟なモーションをしながら、若い男・・・マイケルは頭を下げる。

「す、すいません。出来心だったんだよぉ~・・・こ、こんな事はもうしない、ゆ、許してくれー」

 何度も頭を下げるマイケルに半ば呆れる淀川。こんな事をしている場合ではない、はやく領主達と決着を付けねば。




「はやく行け」
「あ、ありがとう!・・・お礼に・・・」






















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「こいつを喰らいやがれぇ!!ひゃっは!」

 頭を上げると同時に突き上げられた拳を、辛うじて避ける淀川。マイケルの腕に装着されている機械腕から、勢い良く蒸気が噴出す。

「チッ!惜しかった!俺のメカアーム『タガメ』を避けるとは。・・・なるほどあんた、軍の人間か!」

 淀川の腕の腕章を見ると、覆われていない口がニヤリを笑む。








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 メカアームとビックバンドの激しい衝撃音が、宝物庫に響く。

「・・・くっ・・・やるな」
「あんたの腕も良い感じだが、俺の発明品が世界一よ!へへへ!」

 グイグイと力を加えさせるマイケル。少しだけ、淀川が押される。淀川は、苦しそうな表情を浮かべ、絞るように、マイケルへと話しかける。

「・・・お前のような者が屋敷内に居るという事は、街はどうなっているんだ?」
「なんだ、あんた知らないのか?なんだが屋敷内で大規模な戦闘が起きて、街のあちこちでも反乱が起きてるのよ、この領主ももうおしまいだ!ま、俺には関係ないがね!」

 優勢な自身の状態に気分を良くし、口が軽くなるマイケル。
 全てを聞くと、淀川は小さく呟いた。ビックバンドに力が入る。



「そうか・・・民衆達が立ち上がったか・・・自分達の行為は無駄ではなかったんだな・・・」
「あ?」

「教えてくれて礼を言うぞ。だが私は領主のもとへ行かねばならん」
「い?」

「さっさと終わらせてもらう」













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ドガッッッ!!!
「うっ!!」









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バキッッッ!!!
「え”ぇ”ぇ”!!」








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グシャアァァッッ!!
「おぉぉぉおおッッ!!」


 



「すまんな」

 疲れた様子もなく、宝物庫から立ち去る淀川の背後には、バラバラになったメカアームと床にだらしなく崩れたマイケルの姿があった。





 



━━━━━━━

 今回からは、いよいよ最強の賞金稼ぎ集団ラスティパペット活躍回です!!
 よろしくお願いします!!



写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。

第2回スチームパンク武装撮影会 第13話『毒香』

『注意』
この記事は、第2回武装スチームパンク撮影会の記事です。
ストーリーになっており、フィクションの内容となっております。ご了承ください。
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ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
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前回のお話

━━領主の館・広間━━
 

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 ヴァルジッラの気迫に押されたモリブデンの前に、鋭敏な動きでトーマが立ち塞がる。そんな妖艶な刺客に、モリブデンは狙いを定めずにいた。それは、動きだけではなく、跳躍とともに、場に広がる不思議な香の匂いが、獣人であるモリブデンの嗅覚を刺激している事も要因であった。

「ふふ・・・下賎な獣には、この香りは強すぎるかしら?」



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 貴族の私兵集団「CARD」の構成員であり、同時に優れた調香師であるトーマは勝機を読み取り、優艶な笑みを浮かべていた。実際、モリブデンの銃撃はかすりもせず、二人の距離は縮まっていた。トーマの槍斧は確実に、モリブデンを死地へと追い詰めている。トーマの
調香には自らを強化する特殊な効果と、相手の戦闘力を減退させる不思議な力があるのだ。

 トーマの放つ香の効果とは別に、モリブデンの視界に映る、床へと転がるヒヨコの亡骸が、彼の集中力を奪い取っていた。

「ヒヨコ・・・」

 浮かぶ涙が、モリブデンの視界も奪う。トーマは、そんな相手の柔弱の匂いを的確に嗅ぎ付け、渾身の突きを繰り出す。


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「これで終わりよ、薄汚い獣人の子犬ちゃん!」

 所詮、僕は獣人・・・。
 こんな強い相手に勝てるわけがない・・・。
 僕は人間の奴隷・・・叶うわけも無い夢だったんだ・・・。

 モリブデンから、戦意が消え、体から力が消えかけた時・・・。






「馬鹿野郎!諦めるんじゃねえぞ!!」








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「馬鹿なっ!?確かに仕留めたはず・・・!」

 トーマの突きは、モリブデンに僅かに届かず、刹那の沈黙が流れた。モリブデンの頭に、続いて再び声が響く。懐かしい・・・温かい声だ。







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「獣人や人間なんて相変わらずくだらねえ事言ってんじゃねえぞ!・・・お前は俺のダチだ!胸張っていけ!!」








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 モリブデンの脳裏に、確かに、ヒヨコの笑顔が浮かんだ。それと同時にモリブデンはすかさず銃口を向けた。香りも何も感じない。ただ、ヒヨコを感じ、穏やかな気が広がっていく。







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「ありがとうヒヨコ・・・!僕は・・・勝つ・・・!!」










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 銃声とともに、トーマが崩れ落ちる。負けるはずもない格下の相手。獣臭い、下賎な獣人に・・・。しかし、今は何の匂いもしない。・・・そうか・・・これが、死の香りか・・・。トーマはその動きを止めた。しかし、表情には穏やかな笑みが浮かんでいた。そこからは、穏やかな香りが広がってくる。








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 もう一方では、ヴァルジッラとマチルダが戦っていた。しかし、凄腕であるヴァルジッラの矢を、マチルダはいつまでも防ぎ切る事はできない。





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「ふん、貴様ではわたくしの時計は奪えぬ。毒に塗れ、惨たらしく死ね」
「この表情・・・言動・・・この人、麻薬を使用している・・・?」













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 勝負は早い段階で、決着がついた。
 ヴァルジッラの毒矢がマチルダの胸に突き刺さる。言葉に出来ぬ激痛にその場に倒れこむ。マチルダ。一方で、余裕に浸かった冷やかな笑みで、マチルダに近づいていくヴァルジッラ

「貴様ではわたくしを救うことができない。わたくしを救えるのは時の刻み・・・そしてあの薬だけが、わたくしを救えるのだ」

 舌を出して、ニヤリと笑み、その場を立ち去ろうとした時であった。



















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「な・・・!?」

 一瞬の隙をつき、ヴァルジッラの肩に注射針を突き刺したマチルダ。その表情は苦悶に満ちていたが、いつもの笑みを浮かべて。

「ふふ・・・ふ・・・貴族に復讐する事はできませんでしたが・・・最後の最後に・・・一人の患者を救う事ができ・・・まんぞ・・・く・・・です・・・わ・・・!」

 そのまま力尽きるマチルダの横で、ヴァルジッラも崩れる。今まで世界を支配していた、文字盤、時を刻む音が消えていく。そして、自らを支配していた、毒気のような、黒いものが消えていった。




「・・・マチルダさん・・・やはり貴方は良い人だったんですね」

「!!」


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 ヴァルジッラの目の前には、モリブデンが銃を構えて立っていた。仲間を二人も失い、モリブデンは瞬きもせず、ヴァルジッラを見つめている。ヴァルジッラは叫んだ。

「こ、殺せ・・・!」
「君はもう殺意も毒もない。殺さない。君はもう自由の獣人だ」

 はやくここから逃げるんだ。それだけ言うと、銃口を降ろし、ヴァルジッラから離れていく。









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「く、クソ!殺せ!俺を殺せー!!」

 力も毒もなくなったヴァルジッラの粗野な叫びは、静寂に包まれた広間に反響した。しかし、そこに倒れている者達の耳には入る事は無い。










「すまんな、モリブデン。実はわしはヒヨコの・・・」
「ゴットヘルフさん。今は戦いましょう」

何かを察したようなモリブデンの瞳は力強く輝いていた。










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「ゴットヘルフさんはここにいてください。僕は領主をさがして・・・全てを終わらせます!」
「シャルロッテ、領主達を探すぞ。奴らは領主の間にいるはずだ!二手に分かれて向かうぞ」
「ヒヨコ・・・ワシは・・・すまん」
「はい!分かりました隊長!この戦いが終わったら、隊長・・・私の事をシャロって呼んでくだ・・・あ!もういない!もー!!」


 4人は各道へと分かれた。そして、戦いは最終局面へと流れていく。






 誰もいなくなった広間の通路から、ヴァレンがひっそりと姿を現した。















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「く、くそ!何てことだ!あ、あんなクソムシどもにCARDがやられるんて!・・・領主様に助けてもらうしかない!・・・こ、こんなところで死ねるかよぉ!!」





━━━━━━━

今回で民兵vs私兵の戦いは終了です。
写真の量やシナリオの関係で、出番にムラがあり大変申し訳ありません。
残りわずかとなってまいりました!

伏線がほとんど拾えていない感じもしますが、極力皆様の設定は、ストーリー内に反映させようと思っております。



写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。

第2回スチームパンク武装撮影会 第12話『天翔』

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前回のお話

━━領主の館・広間━━

 ネージュの刃がゴットヘルフの首筋へと迫る。
しかし、その刃が突き刺さった先は、飛び込んできたヒヨコであった。

「ぐ・・・!」
「ヒヨコ・・・お前・・・!」

仕留めたはずのヒヨコの捨て身の介入に、ネージュ、そしてノイは動揺を隠せなかった。

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「じ、ジジィ・・・い、今だ・・・!!こいつらを・・・やっちま・・・え・・・!」


 ネージュの刃を押さえながら、搾り出すヒヨコの息が止まるよりも早く、ゴットヘルフの体は動いていた。動きが止まっていたネージュ、そしてノイと一度に叩き伏せる。その動きはバークラー・・・戦場の強奪者と恐れられた伝説の傭兵そのものであった。二人は成す術もなく、床へと倒れこんだ。



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 得物を落とされ、戦闘意欲を失った二人に対して、ゴットヘルフは静かに・・・しかし恫喝するように呟いた。

「勝負はついた・・・去るんじゃ・・・」
「くっ・・・ま、まだネージュは負けていないんだから・・・!!」
「まだですわ・・・この程度では・・・まだ・・・!」

「二度とは言わん。消えろ」

 低く吐き捨てたゴットヘルフの声は、老人のそれではなく、威圧と恐怖・・・そして消えうせる事のない殺気を携えた殺人者のそれであった。ネージュとノイは、戦意を失い、その場から這い出るように消えていった。二人の表情は、狂気に染まった殺人者の顔は消え、恐怖に打ちひしがれたか弱き淑女のそれであった。しかし、それは同時に、次への戦いを意味していた・・・。




「くそ・・・すまねえな・・・モリブデン・・・お前と食ったあのパン・・・美味かったのによ・・・こんなところでよ・・・」

 後方で敵と戦うモリブデンを見つめ、夥しい血を流しながら、白くなっていくヒヨコの顔を、静かに摩るゴットヘルフ。ゴットヘルフの脳裏には、街の中で大道芸を披露するヒヨコの姿が映っていた。この戦乱が起きる少し前の事であった。



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 二十年も前に・・・。家族を捨てたゴットヘルフには、気づけば孫が出来ていた。しかしその孫の父親もすでに亡く、孫は孤独に大道芸人として生計を立てているという。観客に紛れ、孫の姿を見つめていたゴットヘルフ。しかし今更名乗る事もできぬ。彼にできる事は、観客と同様に小銭を彼に恵む事しかできなかった。

 しかし、市民達が領主への反乱を起こすと聞いた。その若い大道芸人も反乱軍へ加入したと聞いた。ゴットヘルフも反乱軍へと入り、彼らの教官役を買って出た。彼らを一人前の兵士にするだけではない。最愛の孫を・・・最も近い場所で守る為であった。抱きしめていた手から、ヒヨコの温もりが消えていく。




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「しかし・・・結局・・・本当の事を言えないまま・・・お別れとはのう・・・」

 静かな笑みを浮かべたまま冷たくなったヒヨコを抱きしめ、ゴットヘルフは小さく呟いた。背後では、残りの私兵と民兵の戦いが続いていた。




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 一方での戦いは、熾烈を極めていた。マチルダとトーマは距離を縮めながら、お互いに急所を狙いつつある。弓手のヴァルジッラの矢を避けながら、モリブデンは銃口を向けるが、互いに致命傷を与える事ができずにいた。


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「チッ・・・獣人がいるのか・・・」
「君は・・・!?蛇・・・?君も獣人じゃないのか?何故領主の味方なんか・・・!領主は獣人達を弾圧しているんだよ!?」

モリブデンは、ヴァルジッラの毒矢を避けながら叫ぶ。しかしヴァルジッラは冷たい目を落とし、蛇のように舌なめずりを繰り返しながら吐き捨てる。

「そんな事はどうでもいいのさ。私にとっては・・・時が刻まれれば・・・!その為には・・・あの時計は誰にも渡さないのさ!お前も時計を奪いに来たんだろう!?」
「・・・?一体何を言って・・・?!」

再び、命の消える音が聞こえた。



━━━━━━━

今回も、民兵vs私兵のシーンです。

撮影時間の関係で写真が少ない部分があり、文章で補完させていただいたところがございます。
写真での出番が少ない方は申し訳ありません・・・。

次回で、民兵vs私兵は決着し、いよいよクライマックスへと近づいてきます!


写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。

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第2回スチームパンク武装撮影会 第11話『罪咎』

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写真撮影は(
ザン・ウー様)(しめ鯖様)(せーゆ様)にして頂きました。ありがとうございます。
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前回のお話

━━領主の館・広間━━

 

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民兵のゴットヘルフ、ヒヨコ、そして貴族の私兵集団のノイ、ネージュが対峙し、熾烈な攻防を繰り返していた。ノイとネージュは、力こそ男性に劣るが、その軽妙な動きと躊躇いのない攻撃が、民兵達を思いつめていく。


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「フッ、多少はやるかもしれねえが、所詮は素人よ。我々エリート集団”CARD”の敵じゃねえよ!」

 距離をとったところで、ヴァレンは罵り倒すように吐き捨てる。煌びやかな衣装に身を包んだ私兵達は、装飾品にカード”トランプ”の姿を確認する事ができる。つまり、彼らは貴族にとっての切り札なのだろう。大事にとっておいた切り札は・・・戦局を変える力を持っている!









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ノイとゴットヘルフの必殺の間合いは、まだ縮まらない。
ゴットヘルフはこの頃になると、ある疑問が浮かんでいた。

あまりにも、こちらの手の内が読まれている。まるで、自分の戦い方や癖を知っているかのような動きだ。

「お前さん・・・ワシのファンかな?」

冗談めいた口調に、ノイの口元も緩み、穏やかな笑みが浮かぶ。
しかし、瞳は冷たく、済んでいる。

「ある意味では・・・そうですわ・・・ゴットヘルム様。この名前・・・ご存知ありますか?」

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ノイが小さくゴットヘルフに告げた名前。どこか貴族か何か・・・男性の名前のようであった。
ノイは静かに笑みを浮かべたままだったが、ゴットヘルフは苦しい表情を浮かべた。
そして、ゴットヘルフは、自身が前領主のボディーガードだった頃のある任務を思い出した。






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ある任務・・・ゴットヘルフが最後についた任務か。前領主に反乱を起こそうとしたある貴族の捕縛、殺害の命令を受けた。ゴットヘルフは任務をこなした。
人を殺したとは考えていない。
いつものように、事を処理したに過ぎない。

しかし、その後、貴族が反乱を起こそうとした情報は偽の情報だと発覚した。
ゴットヘルフは罪には問われなかった。情報を信じ、ゴットヘルフに指令を出したのは上層部なのだから。しかし、ゴットヘルフは悩んだ。

彼が引退を決めた理由となった仕事であった。

貴族の遺族達は、散り散りになったと聞いた。
その時、親族を頼り、どこかへ消えていく貴族の娘を、馬車の窓ごしに見た光景が脳裏に浮かんできた。




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「そうか・・・お前さん・・・あの貴族の・・・・・・娘か・・・」

全てを思い出し・・・目を細め、腕の力が抜けていくゴットヘルフに、温かく微笑みかけるノイ。

「あら?気に病む必要はありませんわ。私、感謝しております。おかげで・・・戦いの術を身に付け、こうして貴方の前に立てますし・・・それに、弱者を痛め、命を奪うという快感も知ることができましたわ」

ふふふ・・・と声を上げるノイを、ため息交じりに睨みつけるゴットヘルフ。
これも・・・・・・過去自身の罪に対する・・・・・・罰なのか・・・・・・。









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「ぐっ・・・わ・・・!!」

一方、その瞬間ネージュの短剣がヒヨコの右胸に刺さる。鋭い痛みに、顔を歪めるヒヨコ。
その顔を、まるで最高の料理を食しているような・・・充たされた表情で目を丸めるネージュ。




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「最高だわ・・・!すっ・・・ごく、面白い!!」

嬉々とし、可憐な仕草を見せるネージュだが、ずぶずぶと刃はヒヨコの体に沈み、ヒヨコの声が上がる。



「今の声は!?」

過去の自らの罪に頭を塗りつぶされかけていたゴットヘルフが、我にかえる。
ヒヨコの悲鳴に顔を向けようとするが、眼前のノイに対して隙を与える事はできなかった。

「おい!ヒヨコ!返事をするんじゃ!!」





返事は返ってこない。

代わりに



























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「次はお爺ちゃんの番だよ!!」


ネージュの刃が、ゴットヘルフの頭上から勢いよく振り下ろされた。





━━━━━━━

今回も、民兵vs私兵のシーンです。


なかなか設定を活かすのがしんどくなってまいりましたw
あと2回くらいでこの対決も終わる予定です。

傭兵・軍人に比べると、マスクキャラの比率が少ないので、表情がすごく写真にのり、
良い感じの写真をたくさん撮っていただきました。

第三回武装撮影会の開催も決定いたしましたので、
そちらも盛り上げていけるよう、どんどん!更新していきたいと思います。

大人気のゴットヘルフさんはどうなってしまうのか!?



写真に写ってはいても、出番がない方は、今後もしっかり出番を作っていきたいと思います。